快蘭(新)でその他の作品



■2008.08.23 サクラ 
  (2/3)

「ぅわ。」

「・・・・え、な、なに・・・・。」

びしょぬれの蘭ちゃんを抱きしめたまま、数分間は確実にキスを繰り返してしまった俺。

力が抜けて思わず膝を折った彼女を受け止めて

角度を変えてまた、舌を絡ませようと顔を寄せたとき

「クシュン!」

蘭ちゃんの小さなクシャミが俺を我に帰らせて

その数分後には彼女を風呂に入れてあげることが出来たわけなんだけど

・・・えーっと、着替え。

やばい格好は、時間が時間だし・・・ほんと、やべーから。

普通に普段着ているシャツと短パンを貸してやっただけなんだけど


ホカホカと暖かな湯気を出しながら、若干濡れたままの髪を整えて出てきた蘭ちゃん

俺のシャツの、肩のラインが二の腕の位置に来ていたり

やたらと空いた胸元が、綺麗な鎖骨を強調していたり

・・・・蘭ちゃんの華奢な肢体が、組し抱きたくなる衝動を・・・煽る。




実は

蘭ちゃんにキスをしたのは、初めてではなくて。

その時は随分と特殊な状況下で・・・とにかく俺は工藤の代役を果たしただけだったんだけど。



その時のずいぶんと刺激の強い思い出が、まざまざと思い浮かんでくるも

ダメだダメだとかぶりを降る。




「いやー・・・・チューとかしちゃって・・・工藤に怒られるかなー?」


殊更明るく言ってみるも

いや、殺される・・・確実に・・・・。



「も・・・もう。」


蘭ちゃんが、真っ赤になる。

そ、その「もう」は・・・どういう意味に取ったらいいんだろう。

キスをした時、体はこわばっていたけれど

・・・拒絶されたわけではなかった・・・と、思う。

舌を差し込んだときも、ほんの少し・・・それに、答えてくれたような・・・気も。




あー・・・・と、喉乾くよな。

冷蔵庫に向かって歩き出すと、蘭ちゃんが

背中にドンと、ぶつかってきた。


--------- え


後から回された、その小さな手が俺の服の合わせ目を掴む。



「・・・・かないで・・・・。」

「な・・・。」

「行かないで・・・・・。」



背中に当てられているであろう蘭ちゃんの瞳から、涙が伝っているのがわかる。

シャツの布地を握る手が、震えている。



「あー・・・・はは。あのさ、蘭ちゃん。」

「・・・・やなの・・・・。」

「え?」

「本当は・・・一週間も前にね・・・この話、聞いて。」

「うん・・・。」

「それからずっと・・・快斗君のコト・・・ばっかり・・・。」




・・・俺の?




「新一が行っちゃう時も・・・こんな感じがしたの。

・・・・快斗君も・・・・二度と会えないんじゃないかって・・・おもったら・・・・。」



・・・あぁ・・・。



「大丈夫だよ・・・俺は他県の大学に行くだけじゃん・・・・。

・・・また、会えるよ。」


「・・・・うそ。」


「え。」



「もう私の前から・・・いなくなっちゃうんでしょう?」




蘭ちゃんの言葉を受けて、そのギュッと掴まれた手を優しく外し

そのまま振り返って、両肩を掴む。



彼女にウソはつかない。

そう決めた。



「・・・そうだよ。・・・・さよならだ。」



「ど・・・して・・・・?」



「・・・・・・ごめんね。」






俺の言葉に、もう意思の代わることがないと察知した蘭ちゃんは、パタンと膝をおる。

ぺたりと座り込んでしまったフローリングの上で、俯いて。




「・・・・幸せになりな。」

俺も隣にしゃがむと、蘭ちゃんの頭を撫でた。

工藤と、の、言葉は出てこなかった。




「・・・制服乾燥機に入れといたから・・・そろそろ乾くんじゃないかな。」

もう真夜中だ。

終電もないし、チャリで送ってあげようか

と、考えていたら。




「・・・今日ココ、泊めて。」

蘭ちゃんが、すごいコトを言ってくれた。


















「あー・・・俺。まじで床で寝るからさ。」

「・・・・最後だもん、一緒に寝ようよ。」


そそくさとベッドに入ってしまう蘭ちゃんに、心底焦る。

完全に一人用に作ってあるこんな小さなベッドに?

蘭ちゃんと二人で朝まで過ごせって???


・・・なんだよ、なんのバツゲームだよ。


それでもそんなに躊躇うのは何故だと無垢な彼女に問われたら

・・・どう答えたらいいのかわからないし。


ええいままよと俺もベッドにもぐりこんだ。



互いが背中を向けた状態で、おやすみ、なんて白々しいことを言う。

・・・眠れるわけ無いっての。


「あ、電気消す?」

煌々と付いた明かりは、彼女の睡眠の障害になるだろう

「ううん。付けておいて。」

殊更にはっきりと、蘭ちゃんが言った。

「あ・・・そう?」

とにかくバクバク音を立てる心臓。

蘭ちゃんに聞かれるのはものすごくまずい。


・・・・病気を心配されそうだ。


そんなコトを考えているうちに、背後の蘭ちゃんがもぞもぞと動き出した。

背中に両の掌の温かさを感じて、


う・・・わ・・・・


ぴたりと蘭ちゃんの体が、俺に密着して・・・・



って、おいおいおい!!だからまずいっての!!!!



「私ね・・・・なんか、変で・・・・。」

「へ?」

「あ・・・・そ、その・・・・。快斗君忘れちゃってると思うんだけどね?

・・・ま、前に一度・・・・あったでしょ。その、快斗君に・・・色々教えてもらったとき。」

「色々?」

「そ・・・その・・・・指でね?その・・・ソウイウコトの・・・仕方っていうか・・・・。」


!!!


驚いて振り返ろうとすると、それを静止される。


「こっ こっち向かないで聞いて!!!!」

おそらく真っ赤になっているであろう蘭ちゃんが叫ぶ。


「あー・・・う、うん。あったね・・・・。」


って、忘れたことなんて無いっての!!



「その時にね・・・私・・・・。その・・・・すごく変で・・・・・。」

「へ・・・変?」

「・・・・なんだか・・・か、体とか熱くなっちゃって・・・・そ、その・・・・。

快斗君とソウイウコトをしてるって・・・思ってたら・・・・わ、わたし・・・。

お・・・おかしいよね。快斗君は友達で・・・・な、なのに・・・・。」






まじで?

あの時蘭ちゃんは・・・カンジテくれてたって、コト?



「あ・・・や、そ、それはさ、その・・・・人間の生理現象・・・・つか、その

・・・蘭ちゃんは気にすること・・・な・・・いよ?」



それは・・・その、男としてはすげー嬉しい。

でも体が愛撫に対してそのような反応を示す事は、きっと、そう。

愛情云々じゃなくて、きっと生理的なもので。



つか・・・押さえてんのに・・・・そんな会話はカンベンしてほしいけど・・・・





「・・・会いたいって思うのも。生理現象?」

「え?」

「毎日・・・毎日、会いたいの。快斗君のコトをね?考えない日が・・・ないの。

私・・・どうして、こんな・・・・。」



・・・・・彼女の声が震える。



「・・・ごめん、そっち向くよ。」

蘭ちゃんの制止を無視して,彼女に向き直る。


とにかく耳まで真っ赤になった蘭ちゃんが、今度は背中を向けようとするけど

それを俺は肩を抑えて阻止した。



「俺だって・・・・毎日、毎日蘭ちゃんのこと考えてる。・・・・・会いたい会いたいって・・・

・・・・毎日願ってる。」


「じゃあ・・・どうして・・・?どうして離れていっちゃうの・・・?」


「・・・・君を・・・泣かせたくなかったから。」



困らせたくない、悲しませたくない

彼女を泣かせるくらいなら、自分の想いなんて、押さえ込むのは簡単だと想ってた。

だけど、それは想った以上に困難で。

だから

一番確実な方法、自分の前から君を消すことに・・・決めたんだ。




「この何週間か・・・・私・・・・快斗君のものだった・・・・。」

「・・・え・・・?」

「誰といても、なにをしてても、快斗君のことばかり考えてて・・・・・。

・・・おかしいの、私。・・・・これってなんだろうって・・・ずっと考えてて・・・・。」

「らんちゃ・・・。」

「私・・・・きっと・・・・快斗君のコトが・・・・。」

「・・・・・蘭・・・・。」





信じられない言葉が蘭ちゃんの唇からつむぎだされて

頭が真白になった。


あいつは?なんて、そんな質問は出てこ無くて。







そのまま、両手をつっぱり蘭ちゃんの上に体を移動させて

ゆっくりと、唇を重ねる。

ただ只管に、甘く。




  next